2018年03月04日

平成29年度 ハートフル基金の活動報告

SHIPでは株式会社大塚商会の「平成29年度 ハートフル基金」から30万円の助成を受けて、高校生向け啓発資材作成とシンポジウムを開催しましたのでご報告いたします。

【社会背景と課題】
 学校や一般社会の中で「ホモ」や「オカマ」といった言葉を見聞きすることがありますが、その多くは嘲笑の対象あるいは変態といった異質なものとして扱われることが多くあります。このことは性的マイノリティにとって、自分が笑いの対象になっているのと同じように感じてしまい、自分の性的指向について更に心を閉ざしてしまい、自己否定、心理的ストレスへとつながっているケースがあります。
 宝塚大学看護学部 日高庸晴教授の1万6,000人のLGBTを対象にした調査によると、学校生活で同性愛について「一切習っていない」とした人は68%に上っていたことから、学校において正しい情報を伝えることが急務と考えます。

【活動内容】
 将来的には社会全体が多様性を認め誰もが生きやすい社会づくりのためには、これからの社会を担っていく子供たちに、性の多様性の理解を高めるためる必要があると考えます。次の啓発資材の作成とシンポジウムを開催しました。

1、性的マイノリティの理解に向けた啓発資材作成
前年度作成した性的マイノリティの理解に向けた啓発資材を10,500部増刷し、講演依頼のあった学校や行政など110ヶ所で配布を行った。また、12月の人権週間に先駆けて、神奈川県本庁舎で実施されたパネル展においてパネル展示を行い、性的マイノリティの理解に向けての啓発活動を行ないました。
次の画像をクリックすると拡大して見ることができます。
生徒向け啓発冊子表面生徒向け啓発冊子裏面

2、シンポジウムの開催
2017年は同性愛者の団体が東京都 の公共施設の宿泊利用を拒否された、「府中青年の家事件」の高裁判決(確定)から20年の節目にあたります。そのため、次世代の活動を担う若手活動家や、行政・教育関係者にLGBTコミュニティのあゆみを継承していくための、次の講師を招いて「司法とメディアの移り変わり」についてのシンポジウムを開催しました。

■ 開催日: 平成29年9月18日(月・祝) 14:00〜17:00
■ 会 場: 慶応義塾大学 日吉キャンパス 第4校舎独立棟 D205
■プログラム:
第1部 講演「20年前の府中青年の家事件を振り返る」
 
  風間 孝 氏(中京大学 教授)
第2部 講演「メディアにおけるLGBTの扱い方を振り返る」
 
  三橋順子 氏(明治大学・都留文科大学非常勤講師)
第3部 ディスカッション「司法とメディアの移り変わりについて」

  風間 孝 氏、三橋順子 氏、中川重徳 氏、牧村朝子 氏
    司会 佐々木掌子(立教女学院短期大学現代コミュニケーション学科 専任講師)

■ 後 援: 神奈川県教育委員会、横浜市、神奈川県弁護士会
■ 参加人数: 計 186名(内訳: 学生 39名、招待 21名、一般126名)

シンポジウムの詳細がWEBマガジン「wezzy」に掲載されました。
・府中青年の家事件を振り返る(風間孝 氏)

・メディアにおけるLGBTの扱い方を振り返る(三橋 順子 氏)

・ディスカッション(風間孝 氏、三橋 順子 氏、中川重徳 氏、牧村朝子 氏)


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<参加者の感想>(抜粋)
▼これまでの大きな流れを知ることができ良かったと思います。
「声を上げ続けることの大切さ」を痛感すると共に、これだけ声をあげていたにも関わらず伝わってないことが多いのは、受ける側の責任でもあると思いました。
(行政職員)

▼当事者が非常に強い語りで、とても貴重な時間でした。L・G・B・Tそれぞれが連帯するのか、しないのか等、興味深い話題だと思います。(学生)

▼司法やメディアの関わりからセクシュアルマイノリティについて考えることができたことは大変勉強になりました。メディアにおける歴史についても学ぶことができ、今後、私が進める研究にも生かしていきたいと思います。(教育関係)

▼勉強になりました。またいろんな講演会に行こうと思いました。
以前あったことや歴史を知れる機会が、本を読むだけでなく、人の口から教えてもらえると助かります。ありがとうございました。(学生)

▼皆さん、力の入ったお話で充実していました。
SHIPの活動が多くの人に支えられてきたこと、その支援がもたらしたのは、SHIPの皆さんの誠意と熱意だったのかと感じました。今後も継続されることを祈念します。(教育関係)

▼府中青年の家事件や新木場事件、トランスの歴史など知っている人間だったので、もう一度振り返りができました。たぶん、知らない若い人たちも多くなって来ていると思うので、こういう風な歴史を振り返るシンポジウムをまたやってください。
歴史のアーカイブをどうにかいかない思うので、そのその一翼をSHIPさんが担っていただけると嬉しいです。本当に10周年おめでとうございます。(相談員)

▼非常に内容も濃く学びの多いシンポジウムでした。
自分にもできることがあるとしたら、それは何かということを深く考えさせられる機会でした。(NPO・NGO)

▼何よりも「歴史」を学ぶことの重要さを再認識できたと思います。
勉強するきっかけを作って頂きました。(会社員)

▼日本におけるセクマイの扱いや歩みが簡潔に説明されとても分かりやすく勉強になりました。このような機会があったことに感謝します。
今後の希望が見えたシンポジウムでした。(学生)

▼府中青年の家事件の事実を知ることができ、当事者の思いを知ることができとてもリアルで印象的だった。また、三橋さんの講演では、メディアという枠の中で、LGBTがどのような扱い方をされてきたか知ることができた。主張はなるほどと納得できるものだった。自分にできることをやっていきたいと思いました。(行政職員)

▼シンジさんが仰っていた「LGBTという明るい話題が多いが、そのような場に出てこられない、日の当たらない支援」が確かにないなぁと感じる。ゲイとして生きるのに手いっぱいであるのに、年齢的・経済的・精神的に厳しいを日を追うごとに感じざるを得ない。悩みの多さは生きて行くたびに増えていくなと思う。(会社員)

▼府中青年の家事件と同時期に、当時高校生だった私はサッカーの合宿でそこに泊まったことがありました。当時、事件のことを知って驚き、おかしい!と思ったのですが、それから早くも四半世紀経ち、法学専門誌で扱うようになった。人権を扱うメディアでもそういう状況であることに反省します。カミングアウトすると非難される私たちの社会の差別意識をなくしていく取り組みを一編集者として、一市民として続けていきたい。(会社員)

▼府中青年の家事件の当事者のちの視点、メディアにおけるLGBTの報道、表現の時代変化など、この2つの流れが具体的で分かりやすかった。一方で記録に残されていない性的少数者の状況などは今後、新たな研究、記録に残していかなければならないのではと感じました。(会社員)

▼LGBTの課題を顕在化した風間氏の講演と、メディアの扱いを切り口にした三橋氏の共演で、改めて我が国の現状が良く理解できました。会場にはそれぞれの立場で、活躍せれている方のお顔が多く頼もしく思いました。こういうイベント、しっかりと行っていくことが大切だと思います。
大変だと思いますが、是非頑張ってください。私もできることをしっかり進めていきます。(行政職員)

▼いろんな事件があるんだなと初めて知りました。そして、その事件があまり世の中に伝わってなくて、残っていないと感じました。メデイアであっても間違った情報がこんなにも多く流れていて驚きでした。(学生)
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2017年03月21日

平成28年度かながわレッドリボン賞を受賞しました。

本日、平成28年度かながわレッドリボン賞の表彰式があり、当団体が団体の部で受賞しました。
この「かながわレッドリボン賞」は、HIV感染拡大防止と感染者に対する偏見や差別のない社会をつくるために、神奈川県エイズ対策推進協議会が平成8年度に設けた賞で、神奈川県内においてエイズの正しい理解と支援について普及・啓発に努めてこられた個人や団体を表彰するものです。
当団体ではMSM(男性同性愛者)を対象にした予防啓発を2007年から15年間行っており、レッドリボン賞の受賞は平成16年度に続き2回目の受賞になります。
これもひとえに、皆様のご支援の賜物と、心よりお礼申し上げます。

レッドリボン賞レッドリボン賞賞状

受賞は2回目になりますが、1回目の受賞(平成16年度)はゲイバーや野外ハッテン場におけるコンドームアウトリーチの表彰でししたが、今回は予防啓発をはじめ、性的マノリティの居場所作り、カウンセリングや電話相談、学校向けの講演活動、HIV検査など総合的な活動が評価され2回目の受賞に至りました。
現在の総合的な活動のベースができたのは、平成19年度からの神奈川県との協働事業でした。
今思い起こせば、当時は同性愛者やHIVに対する偏見や差別は大きいものがありました。
コミュニティセンターの場所を探すために不動産さんを周りをしてましたが、HIV検査と同性愛者が集まる施設ということで次から次と断られました。「私はいいけど、他のテナントさんがね・・・」という大家さんもいました。
そして、30件目のときは、神奈川県のエイズ担当の職員さんに同行していただき、ようやく賃貸契約を結ぶことができました。
また、性感染症の授業である高校に行った際は、校長先生から「同性愛の話はしないでください」と釘をさされたことがありました。このとき、教育の現場で同性愛者など性的マイノリティがタブー視されてることを目の当たりにされました。
そして、平成21年度からは神奈川県教育委員会が協働事業に関わるようになり、今では教育の理解も高まってきました。
神奈川県との協働事業は平成23年度で終了したことにより、財政的なピンチになりましたが、平成28年度から横浜市からの補助金により継続的な活動ができるようになりました。
このように当団体は、いろいろな問題にぶちあたりながらも、行政・教育をはじめ、多くの方々に助けられてきました。

性的マイノリティやHIV/AIDSに関する差別や偏見はまだまだいろいろな課題があります。
誰もが自分らしく生きられる社会を目指し、一つ一つ地道に活動を続けていく所存です。
この賞に恥じないようより一層努力していく所存ですので、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

(認定)特定非営利活動法人SHIP 代表 星野慎二
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2017年03月11日

ハートフル基金の活動報告

SHIPでは株式会社大塚商会の「平成28年度 ハートフル基金」から30万円の助成を受けて、高校生向け啓発資材作成とスタッフの養成講座を開催しましたのでご報告いたします。

1、社会背景と課題
 学校や一般社会の中で「ホモ」や「オカマ」といった言葉を見聞きすることがありますが、その多くは嘲笑の対象あるいは変態といった異質なものとして扱われることが多くあります。このことは性的マイノリティにとって、自分が笑いの対象になっているのと同じように感じてしまい、自分の性的指向について更に心を閉ざしてしまい、自己否定、心理的ストレスへとつながっているケースがあります。
 宝塚大学看護学部 日高庸晴教授の1万6,000人のLGBTを対象にした調査によると、学校生活で同性愛について「一切習っていない」とした人は68%に上っていたことから、学校において正しい情報を伝えることが急務と考えます。

2、活動内容
 将来的には社会全体が多様性を認め誰もが生きやすい社会づくりのためには、これからの社会を担っていく子供たちに、性の多様性の理解を高めるためる必要があると考えます。次の啓発資材の作成とスタッフ育成を実施しました。

(1) 性的マイノリティの理解に向けた啓発資材作成
 中学生や高校生を対象にした性的マイノリティの理解に向けた啓発資材を22,000部作成し、教育委員会を通じて県内の中学・高等学校(800校)に周知を行いました。また、2月以降に中学校で実施した授業で生徒に配布して活用しました。

 配布先は以下の通りです。
  公立高校  243校
  私立高校   81校
  公立中学校 415校
  私立中学校  63校
   合計   800校

啓発資材はA4サイズ・3つ折りで、22,000部作成しました。
次の画像をクリックすると拡大して見ることができます。
生徒向け啓発冊子表面生徒向け啓発冊子裏面

写真は横須賀市武山中学校の授業の様子です。
横須賀市立武山中学校


(2) スタッフ育成講座の開催
 近年、教育や行政における性的マイノリティへの関心が高まから、学校などから講演や授業の依頼が増えています。そのニースに応えるべく、講演スタッフの育成や支援スタッフの育成を行なって行く必要があります。そのため、「LGBT支援いきいき講座」を4回実施しました。各講座のテーマ・講師陣、参加人数は次の通りです。
( )内は会場の地域です。

【第1回】12月3日(土) LGBTの歴史(新宿)
  講師:風間孝氏(中京大学教授)
     鬼塚直樹氏(カルフォルニア大学サンフランシスコ校)
  参加人数  29名
【第2回】1月15日(日) インターネットのトラブル(横浜で開催)
  講師:遠藤まめた氏
  参加人数  15名
【第3回】2月5日(日) DVや性暴力(横浜)
  講師:山下敏雅 氏(永野・山下法律事務所)
  参加人数  10名
【第4回】2月26日(日) HIVと薬物(横浜)
  講師:井上洋士 氏(放送大学教授),岩橋恒太氏(NPO法人 akta)
  参加人数  11名

写真は第1回の開催風景です。
いきいき講座1回会場
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